月曜日, 3 of 8月 of 2020

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読書 「空気」の研究

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世間主義文化が陥り易い「空気」という化け物

まず第二次大戦における日本政府首脳部の意思決定を取り上げ、合理的な立場からはとうてい考えられない愚かな結論に至るプロセスを分析する

なんであんな馬鹿な事を決めたのか?と後から問われた一人は「当時の空気では、そうする他なかった」と答え、「あの時の空気を知らない者の批判など、聞く耳を持たない」と開き直った

「空気」によって第二次大戦に突入し、300万人以上が死んだ

この「空気」を打ち破るには「水」が特効薬で、何かの空気が場を支配しそうになったら「水を差す」と良いという

空気と水という、人間の生存に不可欠な二つが、日本人の運命を影から支配している

空気に水を差した者に対して、空気に支配された周囲からは、厳しい批判や罰が与えられる場合も多い

「王様は裸だ!」と叫んだ子供は、子供だから助かったが、大人だったらその場で殺されていたかもしれない

いま、中国コロナ騒動で、再び非常事態宣言を出すべし、という空気が醸成されつつあるようにも見える

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マスコミは連日のように感染者数を報道し(なぜか死者数を報道せず)、「空気」を醸成しようと必死になっている

旅行業界や飲食業界は追い詰められて、今まさに玉砕しようとしている

非常事態宣言など狂気の沙汰だと言っているホリエモン(→)には、バッシングも起きている

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読書 「世間」とは何か

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ドイツ中世史が専門である著者が、万葉集から現代にいたる日本文学の作品を渉猟し、その中に現れた「世間」のあり方について考察している

その中では、兼好の「徒然草」と、夏目漱石における世間が特に面白かった

世間は現在でも、日本人の行動や考え方、あるいは生き方まで規定しているが、山本七平の言うように空気のような存在なので、対象化して分析するのが非常に難しい

多くの日本人は、多かれ少なかれ世間の中での生き難さや世間への鬱陶しさを感じ、そこから逃れようとしているかのようにも見えるが、実は世間には生き易さの側面も大きく、なかなか簡単に捨て去ることも出来ない

世間での生き難さが先鋭化した一部の人は、かつては出家したり、隠者となって人里離れた場所に庵を結んで隠棲したりして「脱世間」してきた

本書に取り上げられている作品のほとんどは、それらの脱世間した人々が生み出してきた

親鸞の作った浄土真宗の集団は、彼が生きていた時代には、世間を拒否した脱世間社会を構築したかに見えたが、やがて世間の原理が徐々に浸透して、今では脱世間の特質はほとんど失われているという

本来なら世間を対象化して分析すべき学者の社会が、まさに世間の典型であって、著者は余り関わり合いたくないなどと嘆いている

21世紀の現在、十代、二十代がよく利用しているSNSにも、世間は深く値を張っている

炎上事件とか、辛辣な投稿を苦にした自殺事件なども頻繁に起きており、日本人と世間主義文化の根の深い結びつきを感じる

(^_^;)

 


読書 物語ドイツの歴史

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ドイツ人って、なんか変だなぁという素朴な疑問に答えてくれそうな本

謹厳実直でクソマジメ

機械に強い

カルトにハマリやすい

ユダヤ人を目のカタキにする

魔女狩りが最も広く行われた

フランスとは敵対するがイタリア人とは仲が良い

壮大な哲学体系をつくる

クラシック音楽の天才たちを輩出

世界戦争で負け組になることが多い

表面的には日本人と似ているところもあるが、よく見るとまるで違っている

その背景には、

ゲルマン部族社会の伝統

フランク帝国や神聖ローマ帝国の歴史

国家統一の遅れ

三十年戦争における農民の悲惨

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などがあるし、さらに、

大宇宙と小宇宙という二重の世界観

プロテスタントの禁欲主義

教会による懺悔(罪の告白、→)の強制

「協会」という教養理念の培養基

などが浮かんでくる

現在、EUを実質的に支配して「第4帝国」を目指しているようにも見え、アメリカとはソリが合わず、中国には妙な親近性を持っている

まあ変わっていると言えば、イギリス人やフランス人、アメリカ人だって相当に変わっているし、日本人だって余り人のことは言えないんだけどね

「物語」とあるように、ストーリー性をもって語られていて、非常に読みやすい

(^_^;)

 


読書 ユダヤ人は本当に「悪者」なのか?

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「1890年1⽉25⽇、ユダヤ学研究協会の年次総会における講演」と副題されてます

今から130年前、場所はフランス

著者(ユダヤ学者)が、ユダヤ人聴衆に向かって、ユダヤ人に対する偏見や作り話を列挙し、反論しています

ことさら目新しい話はないのですが、異端裁判(異端審問)がようやく終了し、とりあえず生きたまま火あぶりにされる危険が遠のいたばかりのヨーロッパのユダヤ人社会の雰囲気が伝わってきます

この半世紀後には、ナチスドイツによるユダヤ人狩りが始まり、異端裁判とは比較にならない数のユダヤ人が虐殺されます

今また世界は、中国コロナや不景気による社会不安が巻き起こっています

キリスト教徒が不安とイライラに駆られると、極端な宗教的不寛容が復活し、他宗教や多民族に対する攻撃性が高まり、悲劇が繰り返されるかもしれません

欧米では、アジア系に対する暴力事件も多発していますから、日本人が攻撃のターゲットになる可能性も排除できません

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読書 魔女とカルトのドイツ史

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イタリアでルネサンスの文化が花開いていたころ、多少のズレはあるが、ドイツ(神聖ローマ帝国)では、宗教改革と魔女狩りが「花盛り」であった

生真面目で律儀、仕事は正確なんだけど、なんとなく余裕がなく、陰鬱で、不機嫌そう、というようなマイナスイメージも付きまとう

そして20世紀、ヒトラーが先頭に立って、派手にやらかしてくれた

とにかく、ドイツ人は何かが違う!

日本も一時は組んだし、明治の日本はお手本にしたこともあるけど、この何かが違う感じは何だろう?

これをドイツにおけるカルト集団の歴史の中で解き明かしている

ひと言で言えば、カルトにハマり易い国民性、民族性

その背景には、合理的な表層文化の裏に潜む、非合理主義の基層文化、ドロドロしたデモーニッシュな心理、キリスト教文化に抑圧されたゲルマン精神

社会が大変動して、ドイツ人が強いイライラに陥ると、これらがまた噴き出してくるかもしれないよ

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読書 魔女狩り

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魔女狩りについては、すでに何冊か読んできたが、本書が最もバランスよく整理してまとまられているように感じた

何度読んでも、吐き気のするような残忍さと偽善性である

魔女狩りの残忍さは、何に由来するのか?

一つの仮説だが、人種や民族のような人間集団の残忍さは、過去数千年にわたる生存環境の過酷さに比例するように思われる

荒地や砂漠、寒冷地といった厳しい生存環境、そして食糧や土地をめぐる他民族との抗争という過酷な環境で生き抜いて来た民がいた

彼らは常に

 味方と敵(神と悪魔=善と悪=光と闇)

という二元論的思考を持ちやすく、やがて一神教の信仰を持つに至った

生存環境が、二元論的傾向をもたらし、一神教を生み出した

そして一神教の民は、自分を神の側(正義)だと確信した時に、悪魔(敵、異端、魔女)に対して、悪魔さながらの徹底的な残忍さと偽善性を発揮する

まさに、神と悪魔は紙一重となる

神の存在を確信した「正義の人」は、喜び勇んで、徹底的に悪を行う(パスカル)

いま香港に「国家安全維持法」を統括する、中国共産党の幹部が派遣された

彼は共産主義イデオロギーを確信し、自由を求める人々を魔女と決めつけ、厳しい魔女狩りを開始して、「正義の人」になろうとしている

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読書 ユダヤ人

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ユダヤ人とは何か?」という問いに対する答えの一つとして、歴史的な名著とされている本です

読んでいると、ユダヤ人は全面的に哀れな被害者であり、悪いのは全て「反ユダヤ主義者」だと断定していて、20世紀を代表する思想家サルトルにしては、ずいぶん善悪二元論で話を単純化しているなぁと感じます

この本のフランス語版の原著が出版されたのは1954年、戦後9年が過ぎたころですが、元となる原稿が書かれたのは1944年、大戦の真っ盛り、ドイツがユダヤ人を毎日ガス室で大量虐殺していたときでした

当時サルトルの母国フランスはドイツ軍に占領され、アメリカ軍によって解放されたばかりという状況で、ドイツ人に対する憎しみが満ちていたころですので、分からないこともありません

ただし、ユダヤ人の屈折し複雑な状況心理に対する洞察は、さすが天才哲学者だなぁと思わせるものがあります

最後に、ではどうすればいいのかという方法論の話になると、社会主義革命が必要だとしており、当時の時代精神がいかに現在と違っていたかを、まざまざと見せつけられます

サルトルは1980年に亡くなっていますが、その後ソビエト連邦が崩壊し、中国共産党がチベット人を大虐殺して民族絶滅に追い込み、ウイグル人を強制収容所へ送り、自由を求める香港人を弾圧している現状をもし彼が見たら、どう考えるでしょうか?

(^_^;)

 

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読書 ユダヤ人とドイツ

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ユダヤ人とドイツ人、この宿命のライバルの複雑な絡み合いを、中世以降の西洋史の中に位置付ける

ユダヤ人も不思議な民族だが、ドイツ人もかなり変わってる

どんな非人間的な、どんなナンセンスな命令や規則でも、命じられれば、計画的・組織的・機械的に確実に実行する

ヒトラー時代のユダヤ人弾圧から大虐殺へ至る数年間の詳細なプロセスは、魔女狩りとならぶ人類史の闇だ

それを規則正しく粛々と実行したドイツ人を思うと、読んでいて気持ちが悪くなってくる

「義務を果たせば、未来が開ける」というのがドイツ人のモットーだそうだ

日本の体育会系組織の古い体質にも似ている

独裁者にとって都合が良く、全体主義に向いている

沈没する船から救命ボートに移るとき、子供や女性を先にする場合、ドイツ人の男は「それが規則です」と言えば納得する

ちなみに米国人なら「そうすればヒーローになれる」、日本人なら「みんなそうしてます」だそうだ

もちろんジョークだが、国民性の本質を突いている

残念ながらユダヤ人の分は無い

(^_^;)

 


読書 魔女と聖女

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魔女狩りが凄惨を極めた時代(15~17世紀)は、一方では聖女が崇拝された時代でもあった

聖書における魔女の原型が、ヘビに誘惑されてアダムに知恵の実を食べさせたイブなら、聖女の原型は、処女のままイエスを生んだとされている母マリア

しかし魔女と聖女は紙一重だった

聖女ジャンヌダルクは、魔女として火あぶりになった

中世のキリスト教会は徹底した男性の組織であり、その世界観において神と人間の関係を構成するとき、女性の位置づけに非常に苦労したようだ

男性(教会)にとっての女性は、まず性欲の対象であり、男には出来ないこと(出産など)をする貴重な存在であると同時に、何やら理解しがたい不気味な存在でもあった

それが強迫的に極端化した場合、聖女として崇拝するか、または魔女として嫌悪した

崇拝の対象と嫌悪の対象は、実は非常に近い関係にあるらしい

天皇家と賎民に妙なつながりがあったことが、日本の中世史でも指摘されている

現代社会でも、それまで差別されていた集団が、いつの間にか特権階級に転化する現象が見られる

(^_^;)

 

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▲魔女として火あぶりになった、聖女ジャンヌダルク

 


読書 魔女の恐怖

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15~17世紀のヨーロッパでは、数十万人(その多くは女性)が「魔女」として処刑された

誰かが「あの女は魔女だ!」と告発すれば、すぐに本人を逮捕して厳しい取り調べが始まり、拷問による「自白」で火あぶりの刑になるか、拷問に耐えられずに死んだ

日本で言えば村八分になるような村の迷惑者だけでなく、ちょっと変わった人や、人付き合いの悪い人は、片っ端から魔女であるとして告発され、焼き殺された

14世紀までのヨーロッパは農業改革で経済が成長し、比較的豊かだったのに対し、15世紀からその反動で経済成長が止まり、飢餓が表面化した

大衆にイライラが蓄積し、そのはけ口としてスケープゴートが要求され、その具体的な行動が魔女狩り(集団ヒステリー)となった

イタリアでは華やかなルネサンス運動が進められていたが、その一方でヨーロッパの貧しい人々には、相互不信と疑心暗鬼が満ち満ちていた

残忍さではヨーロッパで一番と言われるスペインでは、異端審問によってイスラム教徒やユダヤ人が大量に告発され、村や町の広場で公開処刑されていたので、それがイライラのガス抜きとなり、魔女狩りは非常に少なかった

魔女狩りが最も徹底的に実行されたのはドイツで、当時のドイツの貧困と飢餓によるイライラの蓄積と、教会によって決められたルール(魔女を告発せよ!)を厳格に遵守するドイツ人の民族性によって、魔女狩りは空前の規模で粛々と遂行され、数十万人が焼き殺された

これと似た状況に陥ったのが20世紀のドイツで、第一次大戦での敗戦による天文学的な戦後賠償でドイツ経済は混迷疲弊し、大衆のイライラが鬱積してスケープゴート探しが始まり、ヒトラー独裁政権が登場してスケープゴートにユダヤ人が選ばれた

現在のアメリカに広がっているデモや暴動の嵐も、中国コロナによる外出禁止や経済の混乱で、大衆にイライラが蓄積していることと無関係とは思えない

今の日本で、マスクをしていない人を攻撃する「正義の人」が増えているらしいが、このような人は魔女狩りが始まったら、真っ先に魔女を告発するタイプの人かもしれない

魔女狩りの当時、「魔女は人間の性欲を刺激して、悪魔の世界に引きづりこむ」という迷信がはびこり、性欲は魔女に誘惑された証拠として罪悪視された

そのせいか、今でもキリスト教徒には極端に性欲を罪悪視する人が多く、性欲を抑圧した反動としてオカルトにのめりこんだり、異常性欲に走る人もいる

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▲魔女裁判で水責めの拷問をしている

水で腹が膨れると、棒で腹を叩いた

中央の男が自白調書を書いている

 

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▲イライラした黒人たちが、白人のおばあさんに暴行している