金曜日, 30 of 10月 of 2020

読書 謎が謎を呼ぶ古代を解く

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反藤原史観の関裕二は「歴史作家」だが、本書の著者である黒岩重吾は、直木賞を受賞している純然たる「作家」

社会派推理小説や風俗小説のほかに、歴史小説も書いている

反藤原史観ばかり読んでいると偏るので、通説に近い古代史も読んでみた

反藤原史観という太い統一テーマを持つ関裕二に比べると、やや論旨が散漫で、古代史の小テーマについて個々にエッセイを書いているという印象だが、日本書紀が大きなウソをついていると主張する点では同意見

むしろ、この「日本書紀の大ウソ」こそ、古代史を壮大なミステリーに仕上げている訳で、多くの歴史ファンの知的好奇心を惹き付けている

推理作家でもある黒岩重吾が触手を伸ばすのも当然だろう

古代史の著作が多い大作家の松本清張も、本業は「点と線」などの社会派推理小説

古代史は史料が乏しいので、スキマを推理と想像(イマジネーション)で埋めることになる

そこに、歴史学者より作家が活躍する土壌がある

歴史学者は若い頃、大学の歴史学研究室に所属すると、古文書の解読のような地味な「歴史学の基礎技能」を恩師先輩から徹底的に叩き込まれる

これはこれで学者として必要な訓練なのだが、推理や想像の能力よりも、忍耐力が勝負の世界

若い時代をこのような地味な作業だけに費やすと、本人の潜在能力キャパにもよるが、自由な推理と想像のパワーが枯れてしまう人も出てくる可能性があるように思うのだが、どうだろうか?

(^_^;)