木曜日, 24 of 9月 of 2020

読書 物部氏の謎

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物部氏と言うと、日本書紀に基づく通説の古代史では、仏教導入に反対し、蘇我氏と聖徳太子によって滅ぼされた氏族とされている

これは表面的には正しいが、その裏に日本の古代における、天皇家を巻き込んだ壮絶な権力闘争があったとするのが本書のテーマ

この権力闘争で、最終的には藤原氏が勝利し、武士が権力を握るまでの古代日本を実質支配し、藤原氏はその後も公家の名門として、明治維新や現代にまで続いている

その基盤を固めた鎌足・不比等親子の天才ぶりは半端なく、歴史(日本書紀)、法律(律令制度)、宗教(中臣神道)を、藤原氏に有利なように巧妙に形成した手腕、頭脳のキレの良さには感心する

この天才親子、実は朝鮮半島の百済王家の者とされており、滅亡した百済の替わりに、日本の皇室を乗っ取って、百済を再興したことになる

藤原氏は皇后を送り込んで、天皇家の親戚筋となっているから、日本の天皇家は朝鮮王朝ということにもなる

さすがにこれは、戦前はもちろん戦後でも、俄かには認めがたいトンデモ学説とみなされ、現在でも歴史学会の主流とはなっていない

しかし王室が他国の血筋というのは、西欧中世史ではザラにあったことなので、別に不思議でも何でもない

天皇家という巨樹にツルをからめてまとわりつく藤原氏(藤はツル科の植物)は、天皇家から養分を吸い取り、天皇を藤原の傀儡化して実質権力を握っていく

藤原氏に敗れた勢力は、野に下って「無縁の民」となり、紀伊半島の吉野や熊野を本拠地として、反体制の一大勢力となって、その後の歴史に闇の影響力を行使する

藤原vs反藤原という、日本史を貫く史観は、従来の古代史の多くの疑問点を明らかにし、壮大な推理小説を読むような面白さがあって、日本史への興味を掻き立てる

著者は、専門の歴史学者ではなくて、歴史を分かりやすく解説するライターだが、下手な歴史学者よりもはるかに説得力のある古代史像を描いている

反藤原の視点から古代史を分かりやすく解説する本を多数著作していて、本書や最近読んだ『闇の修験道』もそのシリーズ

(^_^;)