水曜日, 27 of 5月 of 2020

BCGが中国コロナに効く?

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 BCG要因説 最初はヨタ話かと思ってましたが

  俄かに信ぴょう性を帯びてきました

 欧米とそれ以外で 死者数が2ケタも違うのは

  それがBCGかは別としても

 何か重大な要因があって当然です  (^_^;)

 

「BCG接種が新型コロナにきく」という話が、ネットで出回っている。

BCGは子供のとき受ける結核の予防接種なので、これは一見すると医学的に根拠のないトンデモにみえるが、ジョンズ・ホプキンス大学のBCG世界地図を見ると、疫学的な状況証拠は十分ある。

世界のBCG接種状況(ReseachGateより)

  • A(黄色)はBCG接種を義務づけている国で、日本、中国(武漢を除く)、韓国(大邱を除く)、ロシア、インド、ASEAN諸国、中南米(エクアドルを除く)など、例外なく死亡率が低い(人口100万人あたり死者1人以下)。

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  • B(青)はBCGの義務化をやめた国。EUでは1980年代からBCGを任意にし、日本のようなハンコ型ではない新しい株になった。右の表のように(小国とイランを除くと)死亡率のワースト10はすべでBCGを義務化していない国だ。特にBCG義務化をやめたスペイン(死者93人)と義務づけているポルトガル(死者6人)の差が印象的だ。
  • C(赤)はBCGを義務づけていない国で、イタリア(死者136人)、オランダ(死者25人)、アメリカ(死者4人)。この傾向から考えると、アメリカの死者はこれから数十倍に増えるおそれが強い(この予測は当たった)インペリアル・カレッジの報告は「集団免疫ができるときの死者は(何もしないと)全米で220万人」と予測している(この予測が当たったら大変!)

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JSatoNotesより

JSatoNotesによると、ドイツは1998年にBCG義務化をやめて新しいタイプのBCG株を使うようになったが、図のように(ソ連から導入された)日本型のBCGを義務づけていた旧東ドイツ地域では感染率が低く(1万人中500人以下)、新型の旧西ドイツ地域では高い(1000人以上)。

一見この地図と合わないのはBCGを義務づけているイラン(死者27人)だが、イラン製の特殊なBCG株を使っている。日本型のBCGを接種しているイラク(死者0.9人)とは対照的だ。BCGを義務化するかどうかよりも、日本型のBCG株がコロナに有効で、新しい株がコロナにきかないのかもしれない。

武漢や大邱は、局地的に多くの人が密集して接触したことや院内感染による例外的な「感染爆発」だったと思われる(中国のBCG株も中国製)。「ダイヤモンド・プリンセスで日本人の発症率は低くなかった」という反論もあるが、BCGの免疫効果が弱く、大量のウイルスが体内に入ると発症すると考えれば説明がつく。これは普通の感染症も同じで、免疫は完璧なものではない。

医学的にBCGの有効性が確認されたわけではないが、世界各国で臨床試験が始まっている。Scienceは「BCGでコロナの抗体ができるかどうかは疑問だが、人体への影響を弱めることは考えられる」という専門家の意見を紹介している。疫学的な相関関係は完璧なので、偶然の一致とは考えにくい。

いずれにせよ日本人が集団免疫に近い状態にあることは十分考えられるので、どれぐらいの比率で抗体をもっているかを政府が抗体検査でサンプル調査する必要がある。それによって今後の防疫対策は大きく変わる。

追記:NHKによれば、オーストラリアの研究機関が新型コロナウイルスに有効かどうかを確認するため、医療従事者4000人を対象にBCGの臨床試験を行うと発表した。これまでの研究では、類似したウイルスに感染した人にBCGを使うと、ウイルスの数を減少させる効果が認められたという。

 


 

新型コロナウイルスのワクチン開発に世界各国がしのぎを削るなか、結核を予防する「BCGワクチン」の新型コロナウイルスへの予防効果を見る治験が始まることが「サイエンス」(電子版)のニュース記事に登場し、注目されている。

別にオーストラリアの研究所も臨床治験の開始を発表した。

日本ではBCGの定期接種が行われているが、これは人類の希望となるのか?

京都大大学院医学研究科の医師でジャーナリストの村中璃子氏が緊急寄稿した。

OBJET-001 一般にワクチンは、麻疹ワクチンであれば麻疹を、インフルエンザワクチンであればインフルエンザをというように、特定の病原体に対する1対1の予防効果を示す。

しかし、あるデンマーク人の研究者グループが2015年、「BCGワクチンは細菌の感染症である結核を予防するだけでなく、免疫システム全体を強化し、ウイルス一般への感染や重症化を予防する効果がある」とする論文を発表した。

BCGは20世紀初頭に開発され、今日まで世界で使われてきた古典的ワクチンだ。

ただ、結核の感染や重症化の予防効果は60%程度と決して高くはない。そのため、日本では生後1歳までの間に接種が推奨されているが、米国をはじめBCGを定期接種としていない国も多い。

前出の論文には科学界から賛否両論の声が上がり、評価は定まっていないが、オランダでは今週中にも、このBCGの効果に注目している研究者たちが新型コロナウイルス感染のリスクグループである医師や看護師1000人を対象とした、BCGワクチンの新型コロナウイルス予防効果を評価する治験に着手する。

ギリシャでは、新型コロナウイルスが出現する以前から、感染症が重症化するリスクの高い高齢者を対象としたBCGワクチンの治験が始まっており、オランダの治験と合わせて効果を見ていくことになるという。

「人と人との距離を取る」「手を洗う」など、世界はまだ、ごく基本的な対策でしか新型コロナウイルスと闘うことができないという現状のなか、すでに安全性が確認され、安価に大量生産できるBCGワクチンに寄せる期待は大きい。

しかし、BCGには、新型コロナウイルスはおろかウイルス全般の活動を抑える、確たる証拠もまだ得られていない。期待し過ぎは禁物だ。

 


 

きのうの安倍首相の記者会見は、新型コロナの緊急事態宣言を出すものかとも思われたが、中身は景気対策の説明だけだった。

それはそうだろう。

日本の新型コロナ感染者数は約1500人で、人口比では先進国で最小。

死者に至っては人口比でイタリアの1/400、世界平均の1/10である。

各国のコロナ感染者数(FT.com)

このように日本の新型コロナ感染(特に死亡率)が少ない原因として、次のようなものが考えられる(陰謀論は除外)。

  1. 政府や医療機関の対策がうまく行った
  2. きれい好きな日本人の生活習慣が感染を防いだ
  3. 一部の日本人がすでにコロナに対する免疫をもっている
  4. 日本人の感染したコロナウイルスは毒性が弱い

1と2の要因があることは間違いないが、それだけではこの大きな差は説明できない。

3と4は常識では考えにくいが、今回の事態は常識を超えているので、あえて常識を無視して考えよう。

インフルエンザ消失の謎

3の要因として考えられるのは、日本人が中国人との交流の中で(従来型)コロナウイルスの抗体をもっており、去年から新型コロナウイルスが日本国内に広がっていたことだ。

オクスフォード大学の論文が指摘するように、感染が始まるのは最初の死者が出る1ヶ月以上前なので、日本では昨年末から(人々が気づかない間に)感染が始まった可能性がある。

これは香港やシンガポールなど東アジアにも共通だ。

その傍証が、 インフルエンザの奇妙な消失である。

今シーズンは世界的にインフルエンザが大流行し、アメリカでは2600万人が感染して1万4000人が死亡した。

ところが日本では、昨年末まで史上最高のペースだった流行が、今年初めから急に減速した。

この時期に中国から新型コロナウイルスが入っていた可能性がある。

日本のインフルエンザ感染者数(サイト当たり)

この原因は日本人がコロナの事件で衛生に気をつけたためだという説明は成り立たない。

コロナが日本で報道されたのは2月上旬のダイヤモンドプリンセスの事件からで、年初には話題にもならなかったからだ。

ある年に一度風邪を引いた人が二度引かないのは、風邪に対する抵抗力ができるからだといわれる。

厳密には風邪のウイルスはそれぞれ違うが、人体の抵抗力には共通の要因があるのだろう。

だから年末以降日本に入ってきた新型コロナウイルスに感染したために、インフルエンザが減ったという推測が成り立つ。

もう一つ考えられるのは、日本人がBCG接種でコロナに対する免疫をもっていることだ。

これは医学的メカニズムはわからないが、呼吸器に広義の抵抗力がつくのかもしれない。

疫学的な相関は強く、大隅典子氏によれば、それほど荒唐無稽な話ではない。

BCGの試験的な接種も始まっている。

4の要因として考えられるのは、日本人が(従来型)コロナウイルスに感染して免疫をもっていることだ。

コロナウイルスは風邪の原因の20%を占めるありふれたウイルスで、中国から毎年いろんなコロナウイルスが日本に入っている。

COVID-19が注目されたのは武漢で起こった感染爆発のためだが、これは強毒性のL型(ロイシン)コロナウイルスで、日本には弱毒性のS型(セリン)が入ったのではないか、という説は白木公康氏などの専門家も指摘している。

L型とS型の遺伝子配列の違いはアミノ酸1個だけだが、L型は武漢で分離株の96%を占め、その変異したS型は武漢以外で38%を占めたという。

ここから弱毒性のS型が早い時期に日本に入って(L型に対しても)免疫ができ、症状の強いL型が(免疫のない)欧米に入ったという推測も成り立つ。

これも実証研究が始まっている。

BCG接種と抗体検査の試験が必要だ

総じていえるのは、なんらかの原因で日本人の一部がコロナウイルスに対する抵抗力をもっている可能性が強いということだ。

大事なのは、日本人の何%が免疫をもっているかという基礎情報を得ることだ。

今まではそれをゼロ%と考えて封じ込めをやってきたが、実効再生産数が1を下回る事実は、感染がピークアウトする集団免疫に近いことを示唆している。

基本再生産数R0が2.5だとすると、オクスフォードのモデルでは3ヶ月あれば日本人の60%以上が感染する。

この場合は集団免疫状態なので、自粛は必要ない。

それほど多くない場合は、集団免疫との差分が問題だ。

たとえば40%が免疫をもっているとすると、R0が2なら50%で集団免疫になるので、残りの10%が免疫をもつまでゆるやかに感染を拡大し、医療資源を温存すればいい。

この仮説を検証するのは簡単である。

イギリス政府がやるように新型コロナの抗体検査キットを配布してサンプル調査をすればいいのだ。

これは越智小枝氏もいうように臨床的には当てにならないとしても、1000人の血清検査で十分なので、疫学調査としては低コストで効果的である。

日本人が抗体をもっているのではなく、BCGによって広義の抵抗力をもっているだけだとすると、血清検査では発見できないかもしれないが、S型コロナの抗体は検出できる。

感染力(R0)が低ければ、防ぐべきなのはキスや握手のような直接の「濃厚接触」であって、集会やイベントのリスクは小さい。

以上は疫学的な仮説で、厳密な医学的根拠はないが、いま必要なのは医学の研究ではなく早期対策である。

少なくとも海外で始まっているBCG接種と抗体検査の試験は、今すぐやるべきだ。

 


 

新型コロナウイルスとBCG

 

大隅典子 東北大学大学院医学系研究科教授

 

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想定内のことであったが、ついに東京オリンピックの開催は延期され、直後に小池都知事は都民に対して外出自粛の要請を発した。

1ヶ月前と国内外の状況は大きく異なっている。

もはや感染者数の世界トップは米国で、イタリアも中国を抜いた。

欧州の主だった国の感染者数も日に日に増加している。

本日は東京で60人超え、千葉でも障害者福祉施設で、28日職員と入所者合わせて57人の感染者が報告されるなど、日本にも、いわば第二波(実は第三波?ー追って別記事を書きます)のような感染者数増加が著しい。

このような国別の感染者数、死亡者数を見て、国による差が著しいことについて、多くの人々がその理由を考えている。理由がわかれば、予防に繋がると期待されるからだ。

もちろん、誰でもすぐ考えつく文化的な差異としては、COVID-19蔓延以前からのマスク着用の習慣や社交的な挨拶の仕方などがあり、さらに医療インフラの多寡なとが挙げられる。そのような理由はもちろんありえる。

では、生物学的な観点からの違いは何だろう?

アジア系とヨーロッパ系の人々の間には、ゲノムレベル、遺伝子レベルでの違いは存在し、そのような研究も為されているものと思われる。また、国によって高齢化率が異なっており、高齢者の多い国ほど感染者や死亡者が多くなることはありえるだろう。

だが、3月26日付けで興味深い解析が「JSatoNote」というブログに掲載された。ブログ主の方のプロフィールは以下になっている。

The random notes of Jun Sato in English/Japanese.

I am a middle-aged Japanese male, brought up in Tokyo and moved to Brisbane at the end of 2017.

I started my career at the Tokyo office of a global management consulting firm and dived into a bank turnaround and launching its internet channel. I’ve started my own business and consulting in 2006 and have grown it to around $10M revenue.

I’m very open to new business/consulting inquiries to survive next year and next decade.

JSatoNote: If I were North American/West European/Australian, I will take BCG vaccination now against the novel coronavirus pandemic.(2020.3.26)

まずこの世界地図の塗り絵を見ていただこう(図の出典は以下。うーむ、2011年の3月の論文ですか……)。The BCG World Atlas: A Database of Global BCG Vaccination Policies and Practices, March 2011, PLoS Medicine 8(3):e1001012

これは世界の国々で、結核予防のためのBCG接種をどのように行っているのかによって色分けされている。BCGは、結核を予防するワクチンの通称であり、ワクチン開発に関わったフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字をとったものであり、生後1歳までに接種される。

A(黄色): 現在、BCGの予防接種プログラムが実施されている国B(紫): 以前は誰にでもBCG予防接種を推奨していたが、現在は推奨されていない国中止した年は、スペイン1981年、ドイツ1998年、イギリス、フランス2005年~2007年など。C(オレンジ):BCGワクチンの普遍的な接種プログラムが無い国

で、この国々を見ていて気づくことは………ざっくり結論を言うと、BCGの接種が行われている国では、COVID-19の広がり方が遅いという「相関性」があることについての指摘である(注:「相関関係」があるからといって「因果関係」があるかどうかはわからない)。

例えば、スペインとポルトガルは隣国同士だが、前者はBCGの接種プログラムが無く、後者は実施されている。拙記事執筆時点で、スペインの感染者数は65,719、ポルトガルは4,268である(数字はJohns Hopkins UniversityのCOVID-19マップに基づく)。さらに興味深い比較としては、旧東ドイツと旧西ドイツが挙げられており、前者はソビエト型のBCGワクチンを接種し、後者は西ヨーロッパ型のBCGワクチンを1998年まで使用していた。患者の分布は圧倒的に旧西ドイツ側に多い。さらに、イラクとイランの違いについても言及されており、前者は日本型のBCGワクチンを使用し、後者は独自のワクチンを1947年から1984年まで使用していたという。前者の感染者数は458、後者は32,332となっている(3/28付)。

感染者数に対する死亡者数の割合も、日本、タイ、イラクでは低く、感染者数の増加が著しい欧州諸国においても、日本人の死亡例や重篤例は今のところ報じられていない。逆に、日本の感染者1,349人のうち、日本人は934名で、外国人が415名となっていることは、人口構成を鑑みて同じ日本国内でも外国人の方が感染しやすいことを示している。あるいは、日本でのCOVID-19により死亡した高齢者45人のうち44人は、1951年に開始されたBCGワクチン接種よりも前の世代(70歳以上)という事実もある。

さらに詳しい説明は、元ブログを参照されたい。

では、仮にBCGワクチン接種に新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に対する感染や重症化の予防効果があるとしたら、そのメカニズムはどのようなものだろうか?

筆者は「ワクチンの効果は、せいぜいが20歳くらいまでではないのか?」と思っていたので、最初、この話は奇妙な偶然なのではないかと考えたが、どうも抗体価の問題ではなさそうなのだ。

種々の医学生命科学論文をブログで紹介されている西川伸一先生の3月26日付けのコラムによれば、BCGの接種により、免疫状態がエピジェネティックに変化するらしい。西川先生は、オランダのグループの論文を紹介している。

BCG Vaccination Protects against Experimental Viral Infection in Humans through the Induction of Cytokines Associated with Trained Immunity. Cell Host & Microbe, 2018

 
この図は論文のGraphical Summaryとして挙げられているものだ(オープンアクセス万歳)。BCG接種によって、免疫系の細胞である「単球」にエピジェネティックな変化が生じ、遺伝子のスイッチの入り方が変わることによって、IL-1β等、各種の「サイトカイン」の分泌が盛んになる結果として、黄熱病の発症が抑えられるとされている(注:実際には、血液幹細胞におけるエピジェネティック変化でないと持続しない?)。筆者らはこの状態をtrained immunityと呼んでいる。

この研究では、BCG接種した健常人の血液を採取して調べているが、同じグループは2016年頃からこの方向で研究を行っており、trained immunityの成立には、細胞内のコレステロール代謝に重要なメバロン酸が関わるということも2018年のCell誌に報告している(注:これは、重症例と基礎疾患の問題を考えると興味深い点かもしれない)。

このような研究背景をもとに、すでにオランダではCOVID-19対策のためにBCG接種を開始した。主として医療従事者への接種を行う。Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus? Science, 2020 (2020.3.23)

ドイツのマックス・プランク研究所も同様(報道としてはこちらが早い)。Immune boost against the corona virusIn Germany, a vaccine candidate will be tested for its effectiveness against infections with the novel corona virus(2020.3.21)

オーストラリアでも開始された。Australia Enters 4,000 Healthcare Workers in Trial for Coronavirus Vaccine (New York Times, 2020.3.26)

SARS-CoV2そのものに対するワクチン開発や、その他の治療薬の開発には年単位で時間がかかることから、これまで高い安全性が認められ汎用されてきたBCG接種に期待が集まっている。もちろん、他の生物学的な要因も絡んでいることは十分にありえる(注:別記事にするつもりであるが、SARSCoV2に弱毒性のものと強毒性のものの2種あって、国・地域によってどのウイルスが最初に侵入したのかなど)。We will see…

【追記(2020.3.29)】他のブログ経由でもっとわかりやすい図にたどり着きました。

タナココ:新型コロナウイルスとBCGの接種率とその株との関係について(2020.3.28)

引用されていた図は以下のデータベース公開サイト(オープンデータ万歳)に掲載されています。

Our World in Data: Vaccination

by Samantha Vanderslott, Bernadeta Dadonaite and Max Roser

Samantha Vanderslott, Bernadeta Dadonaite and Max Roser (2020) – “Vaccination”. Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: ‘https://ourworldindata.org/vaccination’ [Online Resource]

こちらのページを下の方にたどっていただくと、国別1歳未満児のBCGワクチン接種率が出てきます。デフォルトは、記事が書かれた2015年時点のものですが、過去に遡ることもできるインタラクティブなインフォグラフィックスとなっています(注:ただしすべての年ですべての国のデータが揃っている訳ではありません)。

その公開されている世界地図がこちら(注:グレイの部分はno dataとなっていますので、接種率がゼロという訳ではありません)。

もう一つ、挙げられていた図を元論文情報とともに再掲します(注:元論文はオープンアクセスではないのですが、私はリモートでVPN接続し、東北大学附属図書館経由でTubeluclosisという雑誌を閲覧することができます。元がオープンアクセスだったらなお良かったのに……)。

BCGワクチンの「株」にも差があって、ロシアや日本の使っているものの方が上記の効果が高いのではないか、という考察が為されます。

Mapping the global use of different BCG vaccine strains, Tuberculosis, 2009

繰り返しますが、現時点でBCG接種とCOVID-19との負の相関関係は、疫学データを元にした仮説です。現在、3カ国で開始されている結果がどうなるか、というヒトに対する効果とともに、本当にBCGの株による差異があるのかについては、ぜひ、まずモデル動物を用いた実験や、もし何か公開されているデータがあれば、それを用いた仮想比較などを行うことが良いと思います。

もし読者諸氏が他にも気づかれた情報があれば教えて下さい。

Twitterアカウントは以下です。@sendaitribune

【さらに追記します(2020.3.29.16:46)】
本ブログを読まれた方から教えて頂いたのですが、東北大学老年内科に所属されていた大類孝先生という方が、寝たきりの老人に対して、BCG接種による肺炎予防効果について調べておられました。BCG接種後にツベルクリン反応が陽転になった方々では、陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制されたとなっています。

ただし、これは上記で紹介した、長期にわたるサイトカイン応答エピジェネティクスによる(かもしれない)trained immunityそのものとは異なる観点です。しかしながら、BCGワクチン接種により高齢の方の肺炎劇症化を防ぐことができるのであれば、その原因がSARS-CoV2かどうかに関わらず朗報でしょう(注:ただし、ワクチン接種には副作用もありえます)。

<以下、科研費報告書より引用>

高齢者介護施設に入所中のADLの低下した155名の高齢者を対象とし、ツ反を施行し陽性群及び陰性群に分け、さらに陰性群を無作為にBCG接種群及び非接種群に割り付けをした。そして、BCG接種4週間後に再びツベルクリン反応を施行し、陽性者を陽転群とし、その後2年間にわたり各群における肺炎の発症率を前向きに追跡調査した。その結果、ツ反陰性群では44名中19名(42%)に、陽転群では41名中6名(15%)に、ツ反陽性群では67名中9名(13%)に新たな肺炎の発症が確認され、ツ反陽転群では陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制された(p=0.03)。以上の結果より、BCG接種は細胞性免疫の低下した寝たきり高齢者において、肺炎発症の予防効果を有する事が明らかにされた。

科学研究費の報告書(2004年):BCGワクチン療法による高齢者肺炎の予防法の確立

上記の内容が含まれる英文総説:Preventive Strategies for Aspiration Pneumonia in Elderly Disabled Persons. Tohoku Journal of Experimental Medicine, 2005