金曜日, 27 of 11月 of 2020

バスタ新宿にファミマが出店


開業から半年が経った「バスタ新宿」

 

今年4月のオープンから半年が経った、新宿駅南口の高速バスターミナル「バスタ新宿」。
新宿駅周辺に分散していた19カ所のバス乗り場が統一され、JR新宿駅から直結となったことで利便性は大幅に向上。
8月のお盆期間には1日最大3.8万人が利用するなど、東京の新たな高速バスの拠点としてすっかり定着した。
一方で、利用者からは問題点を指摘する声も多い。
特に根強いのは、売店やコンビニエンスストアなどがターミナル内にまったくないことに対する不満の声だ。
待合所内にあるのは自動販売機のみで、周辺のコンビニもやや離れていることから、買い物に関する不便さの解消が開業当初から課題となってきた。
こういった声を受け、バスタ新宿を管理する国土交通省関東地方整備局東京国道事務所は、5月に待合所への購買施設(売店)設置について公募を開始。
8月にはいったん出店者がコンビニエンスストアチェーンの「ポプラ」に決まったものの、9月に同社が出店を辞退したことから再度公募を行い、10月7日に新たな出店者が「ファミリーマート」に決定した。
国交省によると、11月上旬から仮の場所での暫定営業開始、来年7月上旬から本営業の開始に向けて調整を進めていくという。

バスタ新宿は「国道20号」だ
今回のコンビニ出店にあたっては、国交省側が出店者に施設のメンテナンスや清掃などの「公共貢献」を求めたという点が各種の報道で取り上げられ、ネット上などで「なぜそんなことが必要になるのか」と注目された。
また、年間の賃料が約450万円と、新宿駅の真上という立地条件としては極めて低額であることに対しても関心が集まった。
これらの理由は、バスタ新宿という施設の特殊性にある。
この施設は「国道20号に面したバスターミナル」に見えるが、実はこの表現は誤りだ。
バスタ新宿は、バスの待機所や乗り場はもちろん、待合所やエスカレーター、バスの出入り用道路なども含め、法律上は「国道20号」そのものなのだ。
国道にコンビニを建てるのと同じ
バスタ新宿は、JR線などをまたいで新宿駅南口を通る国道20号跨線橋の架け替えなどを行う「新宿駅南口地区基盤整備事業」の一環として整備された。
施設がある人工地盤は、もともとは跨線橋工事の資材置き場や、工事中の迂回路などとして使用されていたスペースだ。


コンビニが設置される予定のスペース

建物自体は商業施設の「ニュウマン」や、地上32階建ての複合ビル「JR新宿ミライナタワー」と一体化しており、建設は国交省から受託したJR東日本が行ったが、同省が事業主体であるバスターミナル部分に関しては、道路整備の一環としてつくられたことから「国道20号」の扱いとなっている。
つまり、バスタ新宿にコンビニを設置するのは、極端にいえば国道上にコンビニを建てるのと変わらないのだ。
国道上にコンビニなどの商業施設をつくることは「一般的にはあり得ない」と東京国道事務所の藤坂幸輔・管理第二課長はいう。国道は公共の場であり、その場所を使って民間業者が収益を上げるための施設を設ける必然性はないからだ。
「道路占用には必要性、無余地性、公共性という原則がある」と、同事務所管理第一課の大川徳郎専門官は説明する。無余地性とは、道路の敷地外に余地がなく、道路を占用せざるを得ないかどうかということだ。一般の国道であれば、コンビニを建てる際に道路を占用しなくても、沿道の土地に建てれば済む。
コンビニは必要性の高い施設
だが、バスタ新宿は法的には国道であるとはいえ、ビル内のため沿道に店を設けるのは不可能だ。さらに、コンビニや売店に対する利用者のニーズの高さから、必要性、公共性という点でもこれらの原則を満たしている。
そこで、業者が「公共貢献」を行うのを条件に、民間による売店運営の公募を行うことにしたわけだ。「『公共貢献』というとわかりにくいかもしれないが、公共施設である国道に設けた施設で上げた収益の一部を、維持管理に還元してもらうということ」と、藤坂課長は説明する。
売店のスペースは現在コインロッカーが置かれている場所で、広さは70平方メートル。このほか、エアコンの室外機や3階に設けるバックヤードなどのスペースを合わせて計123平方メートルが占用面積となる。本営業は来年7月上旬の開始に向けて調整を進めるが、それまでの間は発券カウンターや券売機の裏手にある29平方メートルのスペースで暫定営業を行う。

出店料が安い理由は

本営業までの間、コンビニが暫定営業するためのスペース

国道上に売店を設置することになるため、業者が国交省に支払うのは賃料や借地料ではなく、正確に言うと「道路占用料」だ。

国交省によると、入札の際の最低額は周囲の地価などを調べた上で設定しているが、今回は業者が施設内の清掃や点検などへの協力を行うことを前提に90%減額しており、1平方メートルあたり年間28800円としたという。

これは、官民連携の一環として「食事施設、購買施設その他これらに類する施設で道路の通行者又は利用者の利便の増進に資するもの」については「道路維持管理の協力が行われる場合、道路法施行令で定める額の90%を減額する」とされているためだ。
実際の落札額は1平方メートルあたり36600円だったが、業者はこれに加えて「公共貢献」を引き受けることになる。新宿駅の真上としては破格の低額に見えるのは、これが理由だ。
国交省によると、入札にあたっては施設内の清掃、エレベーターやエスカレーターの点検、交通誘導など、現在は同省が担当している維持管理業務を、業者が行う公共貢献の内容として提示。
このうち数項目は必須とし、残りの項目については業者が引き受ける分を選択する形として、その件数についても業者選定の際の評価に含めたという。
「公共貢献」というと、コンビニ店員が施設管理などを行っている姿を想像するが、設備点検などは専門業者でないと難しい面がある。
そのため、実際にどうするかは業者との協議次第ではあるものの、国交省としては売店を運営する業者がメンテナンス業者などに委託する形を想定したという。
ちなみに、公共貢献の項目中には「トイレの清掃」は含まれていない。
待合所のある4階のトイレ清掃は国交省ではなく、バスタ新宿の管理・運営を行っている「新宿高速バスターミナル株式会社」の担当となっているためだ。
なぜ最初から売店がなかったのか
もともと需要は確実に見込めたはずのバスタ新宿内の売店。なぜ当初から売店などの施設を設けなかったのだろうか。
東京国道事務所の西尾文宏副所長は「(飲食店なども入居する)複合施設なので、バスタ新宿はバスが集まる場所として機能分担をするという考えだったが、実際に開業してみると簡単な買い物ができる場所が欲しいという声が多かった」と説明する。
今後はコンビニの設置とともに、混雑が激しい女子トイレの増設も行われるが、利用者から見ればどちらも後からの対策ではなく、最初から考慮してほしかった部分だろう。
また、入札にあたっても、バスタ新宿が「国道そのものである」という点によるさまざまな条件が、業者側にとってやや分かりにくい内容だったことは否めない。藤坂課長は「入札する業者から見ると、馴染みのない形であったことは結果として否定はできない」と話す。
なにはともあれ、やっと決定したバスタ新宿へのコンビニ設置。やや遅くなった感はあるものの、利用者にとっては1日も早い営業開始が望まれる。
 


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